読書記録:破戒(島崎藤村)

作品

タイトル:破戒
作者:島崎藤村

あらすじ

明治後期、信州小諸城下の被差別部落に生まれた主人公・瀬川丑松は、その生い立ちと身分を隠して生きよ、と父より戒めを受けて育った。その戒めを頑なに守り成人し、小学校教員となった丑松であったが、同じく被差別部落に生まれた解放運動家、猪子蓮太郎を慕うようになる。丑松は、猪子にならば自らの出生を打ち明けたいと思い、口まで出掛かかることもあるが、その思いは揺れ、日々は過ぎる。やがて学校で丑松が被差別部落出身であるとの噂が流れ、更に猪子が壮絶な死を遂げる。
その衝撃の激しさによってか、同僚などの猜疑によってか、丑松は追い詰められ、遂に父の戒めを破りその素性を打ち明けてしまう。そして丑松はアメリカのテキサスへと旅立ってゆく。

wikipediaより引用

感想

所感

面白かった。
ドラマチックなストーリー展開で、登場人物の多くは、物語の最初と最後で大きな環境の変化にさらされている。
生活環境が大きく破壊されたようにも見えるが、一方で全体的には解放感が感じられた。
悲劇が多い中で、主人公の丑松のストーリーは、希望の見える終わり方をしているからか。
友達の銀之助が最後までいいやつだった。

意識したわけではないが、昨今の差別問題が社会的話題になっている中で、読んだため、考えさせられた。
差別の歴史が個人に与える影響の重さを教えてくれるようだった。
一方でこの話については、まだ、理解のある周囲に恵まれたことが救いになっていたと思う。

文体

3人称視点で語りかけてくるような活弁士?(あまり詳しくないが、そういう印象を抱いた)のような文体と、緻密な自然の描写は、白黒映画を見ているようなイメージを浮かべた。

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